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乳がん闘病、読書記録、好きなものたち

【2021年読了】52ヘルツのクジラたち

f:id:manpuku_29:20211004122140j:plain「わたしは、あんたの誰にも届かない52ヘルツの声を聴くよ」
自分の人生を家族に搾取されてきた女性・貴瑚と、母に虐待され「ムシ」と呼ばれていた少年。
孤独ゆえ愛を欲し、裏切られてきた彼らが出会う時、新たな魂の物語が生まれる。

注目作家・町田そのこの初長編作品!


2021年4月読了。
2021年本屋大賞作品。
読んだ後、もぬけの殻のようになってしまった作品。
後を引きずるような、後ろ髪を引かれるような、そんな思いがぐるぐるしてしまった。
小説だけど、現実にこういう人もいるんだろうなと思えて胸が締め付けられる。
どうか、どうか苦しんでいる人たちにも届きますように、
そして子供の小さな変化にも気づいてあげられるようなひとになりたい。
たくさんの人に読まれ、一人一人が優しいこころを持てたらと願う。

丁装に描かれた細かい仕掛けが物語の大切なことを記しているようで興味をくすぐられる。
クジラの上に描かれた小さな花は「52」という数字に見える。
折り返し部分に描かれているのは「耳」?

印象に残ったことば
・思い出だけで生きていけたらいいのに
 たった一度の言葉を永遠のダイヤに変えて、それを抱きしめて生きている人だっている。

・親から愛情を注がれていない孤独の匂い。この匂いはとても厄介。
 どれだけ丁寧に洗っても、消えない。
 孤独の匂いは肌でも肉でもなく、心に沁みつくものなのだ。
 この匂いを消せたというひとがいたら、そのひとは豊かになったのだと思う。

・ひとには魂の番がいる。
 愛を注ぎ注がれるような、たったひとりの魂の番のようなひと

#52ヘルツのクジラたち #町田その子 #読書記録 #本屋大賞